のりこうのくうねるあそぶー

英国王給仕人に乾杯!

sawanonn2009-04-17

2009年4月17日(金)
神戸アートビレッジセンターにて。
監督:イジー・メンツェル


いきなり、サブカルですね〜!?
新開地のいかにも下町中を少し行くと、そんな中に忽然と建っているかのような神戸アートビレッジセンター。(笑)
一緒に行った友人も、ワタクシも初めてではないにせよ…久しぶりに行ったので、なんとなく…町との、何とも言えない調和感?に、苦笑せざるを得ないのでした。(笑)


で。
おそらく想像したのときっと違う話だろうな、と想像した通り…、話は全く違っていました。。。


YAHOO映画より…
あらすじ: 1963年ごろ、共産主義体制下のプラハで出獄したヤン(イヴァン・バルネフ)。ズデーテン地方の山中に向かい、廃屋でビールのジョッキを発見した彼は、給仕人として生きた自分の人生を振り返る。かつて若いころ、田舎町のホテルのレストランでビール注ぎの見習いを始め、やがて高級娼館で務め、そしてプラハ最高の美しさを誇るホテルで給仕の修行をしたヤンだったが……。(シネマトゥデイ


解説ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞を受賞したほか、本国チェコの映画賞を総なめにした話題作。激動のチェコ20世紀現代史を背景に、給仕人として生きた主人公の数奇な運命が描かれる。監督は『スイート・スイート・ビレッジ』などで日本にも数多くのファンを持つ名匠イジー・メンツェル。『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』のユリア・イェンチも出演している。名人芸ともいうべき軽やかな語り口と、甘美な映像が見どころ。(シネマトゥデイ





ということで〜。
【感想】
すべてが幸運と機転の良さで、激動の人生を乗り切ってきた男ヤンの、回想話でした。
駅のソーセージ売りから百万長者を夢見て、どんどんとのし上がっていく男の人生には驚かされましたが、日本人にはムリでしょう、少なくともワタクシには。
おつりを故意にではなくてもごまかしたり、コインをばらまいてははいつくばる人たちを影で嘲笑してみてみたり、結局は人を押しのけて上がっていく人生には、心からの共感や尊敬の念は持てません。うーん・・・。
ですが、そうしても、憎めない彼のキャラクター、…背が小さかったり愛嬌や機転の良さで、回りの男性からも敵視されにくく(されないわけではなく)女性にも警戒されず、支援者を得ながら様々な競争(仕事も色事も)を淡々と結局は勝ち進んでいく…バイタリティに目を見張ってしまいます。
あの戦中でさえナチの女将校の夫になることでかいくぐり、戦後は亡き妻の遺産で・・・ 百万長者の仲間入りをするも、政変によって15年間の牢獄暮らし(恩赦によって14年と9ヶ月で出所する幸運付き←)。
そんな不幸と幸運のドンデン返しのような人生の終演に、孤独ながらもひとり人生を見つめ直す男のそれでも人生賛歌のような…幕切れの上手さに、胸がすく感じがするのがなんとも不思議な映画でした。
こうも様々な人間の欲望や矛盾などを、赤裸々に滑稽に描きながら憎めない人間の本質を突いた、すごい…大人のヨーロッパ映画だなぁ〜と、感じずにはいられませんでした。
とりわけある年齢を過ぎた男性(おっさんたち)には、ものすごい共感を持って受けるだろうなぁ〜と、想像してしまいます。
特に主人公は女体盛りが好きなんやなぁ〜と思わずにはいられない……恋人の花や食べ物で裸体を美しく飾っては、その彼女に鏡でソレを見せるシーンが何度も。。。(笑)




おもしろかったです!!
誘った友人にそう言ってもらって、やワタクシよりは年若いお嬢さんだったので、どうか心配だったんですが(^_^;)、
彼女にも受けたようで安心しました


それから、主人公とは関係ない題名「英国王給仕人」ですが、これは主人公が給仕人として働いたホテルの給仕長が「私は英国王に給仕した」と言わしめた言葉から発するモノであり、それが、物語のナチス占領下時代であったり原作が描かれたソ連占領下時代であったりする、チェコの不屈な抵抗精神であることが、主人公とは違った脇役ながらも、チェコ人の良心として彼を描いたことで描かれている点も、少なからず胸を熱くしたのでした。
本当に巧かった…!