のりこうのくうねるあそぶー

君のためなら千回でも

2008年2月29日(金)梅田ガーデンシネマにて


[2007米]
監督:マーク・フォースター
脚本:ディヴィッド・ベニオフ
原作:カーレッド・ホッセイに
キャスト:ハリド・アブダラ、ホマユン・エルシャディ他


70年代より混迷の時代が続くアフガニスタン情勢を背景に、少年ふたりの友情と成長が描かれています。
アフガニスタンについては、あのマスード暗殺から同時多発テロのあったとき、自分自身が壊れそうなくらいショックでいろいろと、世のありようを知ろうと当時カブールより通信していた日本人の方のブログなどを読みあさったりして勉強したものでした。


……そんな政情はとりあえず置いておいて。ソ連侵攻前の平和な時代でした。
少年のふたりは子供時代に仲良くすごした裕福な主人の息子とその召使いの息子。
当時、子供の伝統行事として凧揚げ合戦が行われていました。白き峰峰を背景に青い空に高く上がるカラフルな凧の数々…。
アフガニスタンは本当に美しく豊かな国でした。(*_*)
凧揚げ合戦では、二人は最高の栄誉を得ることになります。その事から二人の絆に亀裂が入ってしまうとは知らずに…。
ふたりの友情の証しとして、君のためなら千回でも!」と誇らしく言い〜凧を追ういじましいまでの召使いの息子ハッサン。
そして偉大な父親からのプレッシャーや嫉妬や自身の弱さから、裏切りの行為を働いてしまう主人の息子アミール。
その後ろめたさが、ハッサンをますます遠ざけてしまいます。
子供ならば…(子供でなくともかも)…誰もが蓋をしてしまいたい自分の卑怯な行いの、苦い思い出の苦しさが、うまく出来ているなぁ〜と、共感せずにはいられませんでした。


やがてソ連侵攻にアミール父子は亡命します。
またこの立派な父親が、ソ連兵に立ち向かった時の毅然とした様に心打たれずにはいられません…(滂沱)。。。


しかもこの偉大な父親にも犯した過ちはあって……。それを知る友人もいて…(*_*)。


そんな彼らアミール父子は、亡命先のアメリカの小さいアフガンコミュニティの中に根を張り暮らしていきます。やがて作家として成功の道を歩んだアミールは、許されざる過去と向き合わねばばらない時が訪れます。
それは、今やタリバン支配下アフガニスタンに戻り、ハッサンの一人息子を探し出すこと――。


命をかけて贖罪を果たしたアミールが、いつかのハッサンの言葉「君のためなら千回でも!」を、相手に返せるようになるまで〜人は成長するものですという〜話でした。アフガニスタンの苛烈な政情を抜きには語れないませんが。。。


脚本も映画の作りも俳優さんの演技も非常に良くできていて、背景や人物が素朴ながらも美しくて切なくて、心に強く残りました・・・。
満足◎。






ところで、映画を観る前にちょうどスカイビルで待ち時間に、外国人の団体に声をかけられ、
「研修で日本に来てるんですが、このビルは何があるんですか?」
「映画館とかクリニックとか入ってますよ」
「映画は何を?」と訊かれましたので。
ポスターのあるとこまで連れていき、こんな…と指し示すと。
「日本の映画ばかりですか?」
「いや、これはアフガニスタンの映画で、こっちは…たぶんアメリカ」
「わあ〜アフガニスタンですか?私たちは隣のパキスタンから来たんです!」と、
興味を持たれてその映画のポスターをじぃ〜と眺めてらっしゃいました(笑)。
で、団体で映画館に向かわれたようすでした。。。
それがまさにこの「君のためなら千回でも」でしたが、その後で映画館に入ったワタクシには、そのパキスタンの団体さんがいらしてたのか?よくわかりませんでした。見られたんだと嬉しいのですが。。。(^_^)