のりこうのくうねるあそぶー

世界最速のインディアン

3月5日 テアトル梅田にて
監督・脚本:ロジャー・ドナルドソン
主演:アンソニー・ホプキンス


まさに、人生を“スピード”にかけた幸福な男。――「世界最速のインディアン
インディアンは、1920年型のバイクの名前で、そのマシンを愛し改造を重ね、ついに夢を掴んだ老人の話です。実話です。
評判に違わぬ、良い映画でした。
この良質な映画の制作に、日本人がかなり出資し関わっているってことも嬉しいですよね☆




ストーリー
ニュージーランドの南端の町、インバーカーギルに住む老人バート・マンローは、愛車“インディアン”に乗り、国内やオーストラリアでのレースで数々の記録を立ててきた。
金もなく、若くなく、健康でもなく、それでも長年夢見た、アメリカのボンヌヴィル塩平原で行われる世界最速レースに出場するために、旅立つ。
彼を支援する故郷やアメリカで出会った人々――。いろいろ乗り越えてたどり着いた塩平原のレース会場にて待ち受けていた最大のピンチ。果たして、老人の夢は叶うのか?



感想
NZの田舎町インバーカーギルを知る者としても、なんだか嬉しいです♪
試練を乗り越え夢を叶える過程が、なんとも味わい深い訳ですが。
なんといっても!この老人マンローのひたむきに夢を追う姿勢、実直さに、そしてそんなお年だからこそ持ち合わせる品格に、周りは突き動かされ、後押ししたくなるんですよね。
スピードへの夢以外は持ち合わせてないような偏屈さは、それ以外のことには鷹揚にもなるのか、人の気持ちを汲みする度量の広さや偏見のなさに繋がるのか。そしてユーモアセンスに、とにかく多くの人が彼を愛します。 
そんな人物達を実に自然に演じて、まるでドキュメンタリーかのように撮っているところがこの映画の素晴らしさかと思います。ええ大仰なハリウッド映画風では決してなく…!
夢を真摯に追い続けた男への情景をこめて。



バート・マンロー
とにかくも、この実在したマンローの人物魅力があってこそなのですが。
そんな彼の語録――
“危険”が人生に味をつける リスクを恐れてはいかん それが生きるってことだ
こういうマシンでスピードに挑む時は、5分が一生に勝る 一生よりも充実した5分間だ
夢を追わない人間は野菜と同じだ
顔にしわはあっても心はまだ18才だ
やる時は やるっきゃない


―― その通りです!(笑)


パンフよりは
もはや60歳を超え身体も衰えているのにもかかわらず、40年以上前に勝ったバイクをすたすら速く走らせるために、すべてを投げ打って改造し続けるマンローの姿はある意味で男の理想像ともいえる。スピードに憑かれ、世界最速スピードを出すということに生命を賭ける。ひとつの目標を貫き通すことができるのはなんと素敵なことか




彼が最速記録をはじき出し夢を手にした時、 きっとなんて幸福だったことでしょう。
高峰に登り「世界一幸せだ」と言った、山男の話のようでもあり。



それに共感して、滂沱いたしました。とても幸せな映画でした。