のりこうのくうねるあそぶー

夏休み。

ピュアフル・アンソロジー 夏休み。 (ピュアフル文庫)

ピュアフル・アンソロジー 夏休み。 (ピュアフル文庫)

 6人の作家によるティーンエイジの少年少女を描いた短編アンソロジー

空き地に石造りの階段だけがポッカリ〜と
 一番この「夏休み。」という表題に沿った内容の話で、「純粋階段」という小道具も上手く使った、ユーモアもあり、ほろ苦い恋も経験し、よくできた楽しいティーンエイジ少年少女のお話でした! 
 「嬉しいくせに」と言われて、「違う。…失笑したのだ。」てラストも良かった☆

少女はビー玉と数学が大好き〜
 理数系少年少女が出てくるのだけど、そんな理数系エピソードが私苦手ながらも〜おもしろかったです。いじめの話がちょっと…でしたけど、なにか自分の中に聖域(ビー玉と数学)があれば、てのもわかるような、ま、賭けで終わるラストもまぁまぁでした。
 

恋と部活に燃えたけど〜
 むむむ、この方の本なんか読んだ気がする…けど覚えてないorz。とあれ、話は、こう十代のやるせない、どうしようもない、気持ちが一番よく出ていました。少年視線で、破綻寸前のでもどうにか自分で自己修正しながら必死で生きている幼馴染みの少女を、見つめる視線がとても優しい。男の子ってほんとうに優しいなぁ。十代でこんな優しさを本当に持っているのか、ちょっと本気でうかがいたい…。

家出した友人と田舎に行き〜
 おませでどんどんすすんでる友人と奥手で自信のない主人公、女の子ふたりの物語。お母さんがいい味です。「なんで」と問う娘に「なんでだろう。なんだかあの川に行くのがいいんじゃないかなって思ったのよ」いつしか離れてしまっても。きっときっと、二人の心にいつまでも消えない想い出を、輝く夏の川のきらめきを残せたことでしょう…。

  • 川島 誠「一人称単数」

海辺の町に越してきた少年は〜
 この方の「800」が大大好きーなんですが、それ以外は…な感じで、このお話もあまりにも中途半端なエッセーで。でも物書きに憧れる身としては、その苦悩も、よくわかるなぁあああ〜。さて次回作品は、一人称の「わたし」で書くべきか「三人称」のほうがいいような気もしますね。う…ん。 

 雨の日は、ぼくの破壊衝動が強くなる〜
 あさのあつこ氏ですよ。うまいよ、少年心理も道具だても話の展開も!完成されているなあ、という感じでした。切なくて情けなくて精いっぱいで、でもみんな…救われてよかったなぁ〜としみじみいたしました…。