のりこうのくうねるあそぶー

アンリ・カルティエ=ブレッソン 瞬間の記憶

監督 ハインツ・バトラー(チューリッヒ出身。芸術家についてのドキュメンタリーに定評)
出演 アンリ・カルティエ=ブレッソン(フランス人写真家。1908−2004)
   エリオット・アーウィット(写真・映像作家。1928パリ生まれ)
   アーサー・ミラーアメリカの劇作家。1915−2005)
   イザベル・ユぺール(女優。1971年デビュー)
   ロベール・デルピール(編集者・出版人)
   ジョセフ・クーデルカ(写真家。1938チェコ生まれ)
   フェルディナンド・シアナ(写真家。1943シチリア生まれ)


7/5 ガーデンシネマ梅田にて


 先週、時間があったので、映画館に飛び込みました。


 世界的写真家ブレッソンが、自らの写真を語ったドキュメンタリー映画
 他、各界著名人が、彼や彼の写真について、ぐるぐると語っています…。


 写真の勉強をしていたので、彼の代表的写真集「決定的瞬間」はよく見ました(装丁がマチスだとは知らなかった!)。その記憶している写真が何枚も出てきて〜懐かしく、嬉しかったです。あーやはり良い写真だぁ…しみじみ見惚れました。


感じたものを、分析することは難しいわ
 イザベル・ユペールが、ブレッソンの写真を見て語っていたのですが。…確かに。
 芸術作品というのは「感じる」ものですから、小賢しく分析なんてできません。感じ方もそれぞれ違うでしょうし…。
 そう、いろいろに感じることができる写真が彼の写真だし、良い写真だなと思います。決定的瞬間は、永遠を感じさせます。…街角のスナップショットもいいし、ポートレートなどは特に、…はぁー、彼しか撮れない写真だと、はぁ…と感嘆するばかりです。



 そして。
 彼が世界大戦の従軍カメラマンだったことは知ってましたが、捕虜になって脱走してレジスタンス活動していたとか、インド、中国、インドネシアソ連…20世紀起こった大政変のその場にいたこともこの映画で知って、つくづく「時代に選ばれた人」でもあったことが確信されました。
 その激動の時代の中にあっても、彼の眼差しは冷静で穏やかでユーモアもあって、そんな彼の写真そのものブレッソンが、この映画にいました洒脱人生を楽しむことに躊躇しないフランス人そのもののような。すてきなフランス人老紳士でした。そして「20世紀は写真の時代」ということを体現された時代の人でありました。


 90歳を過ぎたそんなブレッソンが、バッハに聴き惚れていたり、絵画鑑賞や制作にも没頭したり、楽しそうにしゃべっていた姿が、本当に貴重です。
 撮影は2002−2003年。2003年には大回顧展開催、写真集刊行、カルティエ=ブレッソン財団設立等々……。訃報が聞かれたのが2004年。お亡くなりになる前の貴重な記録だったなぁ、そして鮮やかに人生を締めくくられたんだなぁ…と感慨無量です。


 偶然にもこの映画を見て、ブレッソンという時代の芸術家を知り、作品をまた鑑賞することもできて、幸運を感じました。