のりこうのくうねるあそぶー

リバティーン

監督 ローレンス・ダンモア
脚本 スティーブン・ジェフリーズ
美術 ベン・ヴァン・オズ
音楽 マイケル・ナイマン
衣装 ディーン・ヴァン・ストラーレン
出演 ジョニー・ディップ、サマンサ・モートンジョン・マルコヴィッチ



5月26日(金)テアトル梅田にて



 何と言っても、ジョニー・デップが圧巻…!
 仕事選んでるなぁ、と思います。


 「おフランス」もののエロースな作品と信じて行ったら、間違えてました。すみません!
 1960年代は英国王室に入り浸る奔放な風刺詩人ロチェスタ卿=ジョン・ウィルモット(=ジョニー・ディプ)の物語。お下品でスキャンダラスな人物。多々問題な言動を起こすのだけど、人気はある。妻にも愛されている。
 ある日大根女優を見出し育て上げ、恋に落ちるのだけど…。そしてフランス大使を招く歓迎式典で上演される彼の戯曲で、またしても問題を! 性器に象徴させた、政府をこけ下ろす作品を上映し、捕まる前に全てを捨てて遁走…! そして破滅へと…。



 特権階級である貴族であるものがこうも権力や王室に堂々批判、反抗出来るのは、英国ならではと言えるかもしれない。王権の強いフランスならば出来ないし、だからこそもっと愛欲へのめり込むか宗教に縛られるかになるかもしれない。
 とはいえ宗教的葛藤も描かれていないではなく、基本的に西洋人には縛られずにはいられない問題だから。厳格な母親の宗教心に反抗して育ったという面では、そして死に際しては大きく宗教的葛藤が描かれてはいる。
 けれど上からの反抗心とか批判的精神を持たずにいられないところは、やはり英国人気質かな、と。演劇が好きな所とか。フランス人らほど身を捨てて悦楽に浸れていないのである。憂鬱が憤懣していてそれを外へ向けるのが、英国的かなと思う。
 など考えてましたが、ま、それはさておき…。
 宗教的には反発が強すぎてなのかもしれない。度を超えたこの「放蕩と破滅」ぶり…。地位も美貌も才能も持ち合わせながらそんな、自由奔放でいて、自己破滅へと愚直なまでに人生を転落させていったある詩人の物語…てことでした。



あ、先に見た友人が
「ジョニー・ディップ? 初めは、格好良かったヨ…」
と言っていたけど、私は後半の、鼻もげびっこ引きずり状態の彼こそ、壮絶さがあって、美しかったな…と思うのですが…!?