のりこうのくうねるあそぶー

春の雪

「黒沢の『夢』みたいな映画」
と新聞評にあったので、綺麗で退屈な映画なんだろうな、と思っていました。
或いは「タルコフスキーの『ノスタルジア』みたいな、綺麗で退屈な、映画かと。
でもそれらを観たのって若い頃なのですよ。確かに綺麗さは感じられたのだけど……退屈と思ってしましましたから、わかってない部分多々あると思います。
で、だからそんなに期待していなかったのだけど。
監督の行定勲氏って、まだ晩年監督ではなかったからか、私にはそんな感じしませんでした。或いは、私が年をとったので(只今30代後半)、なにがしか若い頃(10代)よりは感じることができるようになったせいかもしれません。


ま、タダ券があったので、観に行ったのですが。
タダ券は、NANAと春の雪と3丁目の夕陽と選べたのです。ナナを観る予定でしたが、女優陣に比べ、男優陣がイマイチという情報を得。
「妻夫木君がカッコイイと!韓国で異常に人気がある」
というのを聞いて。
カッコイイ男が嫌いな女はそういないでしょう(笑)
だって、オダギリジョーがあんまりステキ(『メゾンドヒミコ』)だったから、それにどれだけ匹敵するか?!(私の趣味的に)なんて期待してみたりして。
妻夫木君は、『ジョゼと魚と魚たち』では、普通の男の子でした。その、普通の現代の男の子らしさが、とてもよかったのです。(特別カッコイイとも思いませんでした)
で今回、貴族のお坊ちゃんで悪い男な役をされました。私的にはあまり、似合ってない気はします。すみません。しかし、悪ぶっていたときより、後半どんどん恋に目覚めて一途な青年になっていく所などの演技は、悪くなかったかと思います。


ストーリーを追うのは止めます(時間がないせいもあり)。
良かったのは、あと衣装や美術ですね。本当にそれらは眼福vでした。
音楽は、良かったけど、「三島」の世界的にはどうだったでしょう?
主題歌の宇多田ですが、曲はとても素晴らしくて取り憑かれます〜。そしてそのお陰で若い人にも好感や興味の持てる映画になった役割は大きかったと思います。
が、三島的にはムリがあると思いましたよ? 映画の中で使われたクラシックの音楽調に終わる方が格調が保てたのではと。まあ私の感想なので(汗)、どうでもいいんんですが。
脚本も、うまくまとめてあり、なんといっても、俳優達の隙のなさは愁眉でした。さすが商業映画的まとまりです。安定して楽しめました。


で、私が一番感動したのは、「女」の恋についてです。
結局悲恋でしたけど、女は好きな男を手に入れ、生涯男の心に縛り付けることが出来て、最上の幸せを手に入れることができたのではないでしょうか?
尼になる決意も行為も悪くないのですが(私が若かったらもっと賛同)、好みとしてはあのまま宮家に輿入れしても良かったのでは?と三島原作を無視して、うっすら笑ってしまいました。
まあでも、上記通り、男の生涯を(原作では死んでしまうらしい?)縛り付けることができた女の恋の勝利かと。そう思う私には、見終わって、ものすごい満足感に充ちた映画でした。