のりこうのくうねるあそぶー

真昼の花

真昼の花 (新潮文庫)

真昼の花 (新潮文庫)

カナダへは、評論本とかエッセーとかも結構持って行って、読んでたんだけどストーリーがない本て、それでなくても眠くて…ZZZ…寝てしまうので、ううう結局どれも読めず、小説本に切り替えた。で、この本。
目的も見失い旅から帰れないバックパッカーの話を、以前に自分も書きたかったが、書いてたのね、角田さんも。って訳で手に取った本。
彼女の本は2冊目かな、その間直木賞なんて大きな賞も取って、今どんどん本も出版されて、のってるのかな〜。出版社の意向かな〜。
私はそんなに好きじゃないんだけどね。江國さんや他人気女流作家みたいにオサレでもないし。ウエットでもないけどカラリともサラリともしてなくて、重い…。っていうか、しつこいんだよね、くどいんだよね、彼女の文、描写、話
でもその執拗さは暗いって訳でもなくて、実に淡々としている。或いはなにかの実験のように黙々とくり返し続けるような。きっと作者の性格だろうな、と思う。
人生を悲観するでもなく、精いっぱい頑張ろうって訳でもなく、でも自分に誠実に日常を生きてる主人公たち。彼らはふわっと現実味がなさそうな立場でいて、しっかり現実的な生活感を漂わす。
そして他人との距離感を図るのが苦手な現代人。
その空虚な関係を埋めたくても不器用にしかぶつかれないむどかしさを、読まされる感じがして、私は彼女の話が苦手なのだろうな。そんな登場人物にちょっと自己嫌悪を感じるような、鈍重さ、美しくなさが、好きになれないのだろうな。
まあ普通の作家たちとは一線を引いていて、ちょっとおもしろい、とは思うけど…。
これは95年の作品だったし、また機会があれば読んでみたいし、今後の作品にも期待したい。