のりこうのくうねるあそぶー

華麗なる恋の舞台で

(ご注意:結構ネタバレ)

題名(邦名)はどうか…?と思っていたけれど、まったくそのまんまで〜(苦笑)
評判通り、とっても胸がすっとしました!(笑)


2007年4月6日(金)
梅田OS劇場にて


監督:イシュトヴァン・サボー
脚本:ロナルド・ハーウッド
原作:サマセット・モーム
キャスト:アネット・ベニング、ジュレミー・アイアンズ他、


物語
時代は1930年代ロンドン。美貌と実力を兼ね備えた人気舞台女優ジュリアは、劇場経営者の夫ともおしどり夫婦として知られ、順風満帆な日々を送っているかのように見える。しかし、単調な生活にうんざりしており、そこに現れたハンサムなアメリカ人青年トムに口説かれ、恋に落ちてしまう
女としての自信を取り戻し、舞台でも活き活きと輝きを取り戻すジュリアトム青年は、夫のもとで経理の腕を認められ、イートンに通う息子ともども家族での休暇に合流するも、そこで会った若い女エイヴィス心を移したらしい。野心家のエイヴィスはトムを通じてジュリアに近付き、大役を得る。
傷心ジュリアは、故郷の島で休暇を過ごすことになり。そこに訪ねてきてくれた長年のプラトニックな恋人ダマリー卿に、身を委ねようとするも、異性愛者ではないことを初めて告白され、友情をより深めるように…。
やがてロンドンに戻ったジュリア。息子のロジャーは品行不正で芝居の世界に生きる母親を心配し、父親とエイヴィスとの不倫関係を告げる。
新作の舞台稽古、ジュリアエイヴィスを引き立て、自ら地味な役回りに徹するようにする。だが、初日の幕が開いてみると……!?



感想 
ええこれぞ、華麗なる恋の舞台
――大人の恋の逆転劇、輝かしい人生の転換劇に塗り替えられるのです。観客を含む彼女の信望者たち、夫や息子からの拍手喝采を一身に浴びる、女優ジュリアのなんと素晴らしいこと! 成熟した大人の女のなんと魅力的なこと…! もう〜胸がすくったらありませんっ!!
…とまぁ〜主人公ジュリアには、彼女を見出し今は亡き昔の劇団の座長ジミー(の霊)が常について回り、芝居の心得を常々囁き続けたり、今の劇場パトロンの夫人や、付き人や、プラトニックな恋人だの、なかなか珍妙な人物も多くまわりについています。彼らとのやり取り駆け引きも深い味わいがあります。パートナーとしての夫もまた、食わせ者で。(笑)「大人」ですよ。
ちょっとでの若い男や女なんぞに、そうそう太刀打ちの出来はずがないのです。芝居じみた母親に不信感を懐く息子でさえ、感服させるほどの魅力、説得力を持つ女、女優。……本当に素晴らしかったです! アネット・ベリングの演技!
若い男との恋に落ちる高揚感や不安感、物語の初・中盤も可愛らしく共感も持てていいんですけれども、とりわけ最後に、息子からのスタンディングオベーションを受けるシーンがとても好きです! この息子(トム・スターリッジ)がまたカッコイイんです〜(好みv) 夫(ジュレミー・アイアンズ)もプラトニックな恋人のダマリー卿(ブルース・グリーンウッド)も、とてもステキですしvv 若い恋人(ショーン・エヴァンス)も良かったんですけどもね?(笑) もちろん野心家の若い女優(ルーシー・パンチ)も美人でしたよ!
しかし登場人物それぞれ、人生の機智に富んだ英国人らしい皮肉でスマートな人物像なり、復讐劇なり…実に心憎くて、いろいろ感銘することしきりです。原作と脚本の巧さなのでしょう〜。 
最後に主人公が一人、大好きなビールを飲みながら微笑むシーンにも説得感がありました。そうそう、大人の女は一人でも充分絵になります…


舞台が1930年代。忍び寄る戦争の足音を聞きながらも、まだ優雅で美しいロンドンの華やかな演劇界や社交界の再現にも、うっとり〜夢見させてくれました。撮影と衣装含む美術の見事さなのでしょう〜。
パンフレットを読みながら、そんな流石なスタッフ達の経歴を読み、とりわけ監督の過去作品には、好きだった映画作品『太陽の雫』があって、大変嬉しく思いました。
ついでにクラッシックな音楽も心地よかったです…。


更についでにいうなら会場となったOS劇場もクラシカルな所が結構好きな映画館です…☆