ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー
2006年6月4日(土)15:00開演
ザ・シンフォニーホール
【出演】
指揮 :大植英次
テノール :ロバート・ディーン・スミス(ジークムント役)
メゾソプラノ:リオバ・ブラウン(ジークリンデ役)
バス :クリストフ・シュテフィンガー(フンデイング役)
ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー
【オール・ワーグナー・プログラム】
歌劇《リエンツィ》序曲
ジークフリート牧歌
楽劇《ワルキューレ》――楽劇《ニーベルングの指輪》第1日より
第1幕
【感想】
開演前
「ワーグナー公演だと、客が妙にワイン飲むんだよ」
とhusが言いました。
1時間前から開場して、みんなゆったりワインとか酒飲みながらワーグナーを聴くんだとか…? 会場ホール前は、黒ハイヤーが並んでて、
「おお〜!流石〜!!」
と私も胸が高まりました。「ワグネリアン」はこうでなくては…!?(←日本だとプチブルクラスかな、(笑)
最も、私たちのハイヤーは十三から乗ってきたので
「われわれだけ、イエローキャブやけどな」
状態で、酒も飲めません!(好きですが、眠くなるので…)という、ちょっとビンボー臭い?客でした、私たち。
ワグナーと大植氏
ところで大フィルを飛躍的に向上させ、絶大な人気を誇る大植氏。今や彼が指揮の公演はチケットが完売してしまう状態です。大フィルでのデビューから応援していたので嬉しい限りではありますが。
その彼があのバイロイト音楽祭で、東洋人初デビューを飾ったことは、昨年の音楽会のビッグニュースでした。誇らしくもあり期待もしましたが、……心配でした。
ワーグナーの音楽と大植氏の音楽…。
あまり共通点が見あたらないんですもの…! まるで、正反対。
円熟しきって腐敗手前…というヨーロッパのデカタンス匂う、甘美なまでに毒をはらんだ音楽のバレンボエム演奏のワーグナーを我々が聴き慣れたせいもあり…。
大植氏のいつも朗らかでみんなを楽しく元気にさせてくれる音楽とは…あまりにも……。
がしかし、その挑戦を大阪で聴くチャンスが今日の「オールワーグナープログラム」…!
オケは98年から主席指揮者を努められているハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーという、初聴きだけど、外国のオケ。彼らともどんな演奏を見せてくれるか?前々から大変期待して、行ってまいりました…。
開演
なんでしょう、もう大植氏が舞台に現れるだけで、ワクワクしてしまうのです!
そして大柄な西洋人演奏者の間をぬって歩いてくる姿はまるで森を歩く小人…!ニーベルンゲンのようで、可笑しくも可愛らしい。そしてそして、指揮壇が2段に積んであり…おお、そうでもしないと埋もれてしまうよ、状態で、やはり可笑しくも可愛らしかったのです…!
しかしながら、タクト振る姿は本当に様になっていて、紡ぎ出す音楽は美しい…。楽団員からも 信頼・尊敬を集めているようで流石〜な貫禄もあり、始終友好的でした。彼はどのオケを振っても友好的な好意を集めてしまう指揮者じゃないでしょうか?
引っ張っていくというよりは、全員を押し上げていくような、一人一人を引き上げていくような、ノせる!ノせる!!のが、客に対してもお上手で。ついみんな楽しくノッてしまうのですよね…。
そして本当に大きな人たちでした…オケの人たち。ヴァイオリン小さいし、コントラバスがチェロのようで、ホントに目を見張りました(笑)!
演奏
1曲目「歌劇≪リエンツィ≫序曲」は序曲らしい華やかさ溢れる美しい曲でした。
2曲目「ジークフリート牧歌」は子守歌のように優しく美しい曲で、……うっかり眠りそうになりました、すみません。
前半聴いて、思った通り、「美しい」曲でした。他のお客さんは喜んでいたようですが、
「毒がないよな〜甘美さに潜む毒が欲しいよな」
と言ったところです。
後半は「楽劇≪ワルキューレ≫第一幕」です!
第一幕…ははは笑うしかない長さです。その持久力たら…まそれはさておき、さすがに素晴らしい演奏でした〜。バス、テノール、メゾソプラノ。一人の女をめぐる二人の男たち。
甘美〜なんですけど! 艶もあるのですけど…。「やっぱりワーグナーらしい毒が、翳りが欲しいよな」
と思わずにはいられませんでした。
だけども、アンコールはあの有名な「ワルキューレ」の音楽を見事にして下さり、盛り上がらずにはいられません。何度ものアンコールにも答えて下さって…というか、会場中が大植氏&オケへの惜しみない拍手に、愛に包まれたいつも通り気持ちの良いコンサートでした。
とりわけ彼には、大阪はもちろん、ドイツ・ハノーファーでも彼が音楽監督を務めるアメリカ・ミネソタでも! 聴けば聴くほどに観衆は、魅了されていくのです〜。地元でもあれば愛さずにはいられません! 私もですが(笑)、これからもずっと期待&応援していきます…!(ワーグナーは…でもネ☆)