のりこうのくうねるあそぶー

草原の記

草原の記 (新潮文庫)

草原の記 (新潮文庫)

司馬遼太郎好きで昔、小説はよく読んだ。ストーリーのない随筆の味が分かるようになってきたのが恥ずかしながら最近で、司馬遼のその文章や言葉使い(に込められた万感の思い)に、時折泣かされる。紀行文などまたちょくちょくは読みたいなと思いつつ、ライノベにはまってる頭では、薄い本なのになかなか読み進めなくてまいった…。
モンゴルにロマンを抱く日本人は多いと思う。
で、モンゴル高原が、天にちかく、そこは空と草だけでできあがってるという話
数多くの歴史文学を書いてきた司馬氏が、生涯をモンゴルに魅せられて心のふるさとととしながらも、捉えきれないず。歴史やら民族やら地理など散文的に書き、世界一の帝国の基礎を築いたチンギス・ハーンの二代目オゴタイ・ハーンや、現代史の過酷な運命を淡々と生き抜いた女性を書きながらも、やはりその潔いまでの虚空さを書いている筆が絶妙。読み終えて煙に巻かれて心地よく霧散してしまうような感。結局それが魅力だと。
神坂智子の古い漫画シルクロードシリーズや竹宮恵子の天馬の血族に描かれる世界観が好きで、私もモンゴルには惹かれる。特に、天への崇拝、宗教観。特定の神様にではなく、生きるもの全てに等しく恩恵を与えてくれる太陽や天や海への畏敬、自然崇拝的宗教が私は好き。読み物としては、人間くさい神々の話は好きだけど(笑)。
でそこに住むモンゴル人や馬までも望郷の念・帰巣本能が強い。(世界中どこででも住みつける中国人とは違って)、ただ帰りたいと思うその種の気は、日本人もつよいと。
ウラル・アルタイ語族の詩情の一特徴かもしれないと、氏は妄言する。
小豆島を旅しながら、この小さい島さえ、日本風景の特徴である山河の色濃くて、愛しいなと、思った。日本が好き。山のない風景なんて、住むにはきっと辛いだろうな、私には。