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オペラ「カルメル会修道女の対話」

いずみホール・オペラ
釜洞祐子プロデュース
オペラ「カルメル会修道女の対話
(演奏会形式・日本語上演)
2005.5/14(土)16:00
指揮…山下一史/演出…岩田達宗/訳詞…宮本益光
出演…釜洞祐子、花月真、松本薫平、児玉祐子、橋爪万里子、尾崎比佐子、石橋栄実、田中勉
ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団


演奏される機会の少ないフランス人作曲家、フランシス・プーランクのオペラ。(1957年初演)
なので貴重かと、聴きに行った。(同じフランス人作曲家ダリウス・ミヨーよりは普及率高し)
で、フランス人らしい宗教音楽だと思った。


フランス人て
フランス人は、信仰心厚いカソリックでありながら快楽趣向(背徳的な)が非常に高い。
(ドラッグや同性愛も複数プレイも辞さないらしい、夫婦は週末愛人の元で過ごすのだとか?)
両極端な二面性を持つ人種らしい。
甘美な宗教音楽
ゲイであったプーランクも多くの葛藤を抱えながら、軽妙な現代的音楽と静謐な宗教的音楽の双方を作曲した。
このオペラは後者で、フランス革命時に殉教した修道女たちの話を元につくられている。
フランス革命といえば、「ギロチン」を象徴するように、一時共和制となった政府の恐怖政治により多くの人(貴族や聖職者、又は彼らに親切にしたというだけで)が処刑された。
舞台も修道院であり、神との誓約の話とかやたら宗教的で、それら背景を知らなければ、日本人には難しいかもしれない。
が、しかしやはりそこは愛に生きるフランス人!
宗教にもロマンを夢見ちゃうんですね、十字軍思想とか…。
やたらと甘美で、クールなんだけど哀感溢れる旋律が随所を引っぱる。
恋愛のない修道女たちの女声世界に、父兄や司祭や役人といった男声が交わって混声合唱となるのも、悲劇的なのに色っぽい! 
難しい内容に関係なく、美しい音楽だけで鑑賞できると思った。 
演奏会は
訳詞も上手く日本語が歌に乗って、聞き取りやすく理解しやすかったいし。
演奏も素晴らしかった!
前2列目で観ていたこともあり、特にヴィオラの甘美な弦音がぐっと迫って、美音に弱い私の涙腺は、途中何度か緩みましたね。
に比べると
以前同じ演奏のザ・カレッジオペラハウス合唱団&管弦楽団で観たダッラピッコラ作曲「囚われ人」(初演1950年)もイタリアカソリックの宗教的オペラだった。
権欲的法王庁やイタリアファシズムの背景理解が難だが、こちらはその宗教的矛盾を突いた作品で救いがなく、それだけに荘厳な美しさが空虚に際だつ音楽だったような…。
フレンチとイタリアン
プーランクとダッラピッコラ、フランスとイタリア、オペラの舞台背景の差もあるが、国民性の違い、生きた(大戦時の)背景の緊迫感の差とか、宗教観の差、などを感じた。
愛への情熱は同様に高くても、イタリア人は宗教には現実的で、ロマンをかけないようだ。
料理も前者はこってりで、後者はあっさりというイメージが…(今はフレンチもあっさりしてきているけれど)。